2019年5月7日火曜日

2019年5月の掲示板



 5月に入り、いよいよ令和の時代を迎えました。外を見れば初夏の陽気に新緑がまぶしく、太陽の光をまるごと葉に宿しているかのようです。また、この連休で長沢村の田植えも済み、田んぼには水が引かれ、蛙の声がそこかしこでこだましています。そんな景色の中、「南無阿弥陀仏」とお念仏を称えながら散歩をすると、理屈を超えて大きないのちに抱かれていることを実感します。今月も、いのちの躍動を感じながら過ごして参りたいと思います。

 さて、今月の掲示板の言葉は、大阪のお同行、横山定男さん(1915~1993年)の詩です。解説の必要がないほどやさしい言葉ですが、言われていることは、私たち仏教徒にとってはとても大事にしていきたい事柄を記してくださっています。つまり、「そんな世界」とは、まさしく仏さまが見ていてくださる「慈悲」の世界のことです。

 私の日常を振り返ってみれば、「苦しい」ことも「楽しい」ことも両方ありますが、「苦しい」日々を乗り越えて来られたのは、一緒に「苦しいね」と言ってくださる方がいてくださったからでありました。そして、「楽しい」日々がより彩られて感じることができたのは、一緒に「楽しいね」と言ってくださる方がいてくださったからでありました。

 私たちは、自分の心に共感してもらえることが一番嬉しいことだと知っています。そして、誰かの心に共感することで相手が安心し、それが自分の喜びになっていくことも知っています。けれども、知っているのになかなかそうはなれない私がいます。なかなか共感しきれないからこそ「苦しい」私がいるのかもしれません。

 そんな私をどこまでもどこまでも受け止め、「あなたが苦しければ私も苦しい。あなたが楽しければ私も楽しい。」と言い続けてくださるのが「南無阿弥陀仏」の慈悲の仏さまでした。「どんなあなたであっても受け止めきるぞ」のお念仏の声に安心と喜びをいただきながら、「令和」という新しい時代を迎えて参りたいと思います。
合掌

誓林寺
http://seirinji.main.jp