7月2日、大きないのちのはたらきの中で、私たち夫婦の間に尊い仏さまの子をお迎えすることができました。小さな小さな身体を抱くとき、そこにいのちの重みを感じます。1日、また1日と家族で見守り世話をする毎に愛おしさが増していきます。
子どもを愛おしく思うとき、阿弥陀さまがこの私可愛さのあまり手間をかけてくださった五劫・兆載永劫(ちょうさいようごう)という長い長い時間に思いを馳せると、私のいのちに向けられている阿弥陀さまの温かいまなざしと思いの深さを感じとても有難く感じます。
驚きと失敗と大きな感動を繰り返しながら、子育てに励んで参りたいと思います。
ということで、今月の掲示板の言葉は、シンガーソングライター熊木杏里さんの『誕生日』という曲の歌詞の一節を書かせてもらいました。「あなたが大事なんだよ」ということをストレートに歌ってくださっている私が大好きな曲の一つです。
昨今は、何かと理由や根拠が求められ、理由がないことは頼りないものと捉えがちになっているような気がします。確かに、しっかりとした根拠がある方が信用度や安心感が増すことはあります。ですが、誰かを大事に想う気持ちにはあまり理由がない方がいいなぁと思うのです。なぜなら、「あなたは~だから大事」「あなたは~してくれるから大事」と言ったとき、「~」に当てはまるときはいいですが、この言葉の裏には「~」に当てはまらなくなったら大事ではないという言葉が隠れているからです。誰かを想う気持ちに「理由がないこと」は頼りないことではなく、どんなあなたであっても大事なんだという思いが込められてあります。
「南無阿弥陀仏」のお念仏の声には、「どんなあなたであってもあなたが大事なんだ」という阿弥陀さまの思いがギュッと詰まっています。この無条件の思いに触れていくことができるからこそ私たちは自分のいのちに自信を持って生きていくことができるのだろうと思います。
2番のサビにはこのような歌詞が出てきます。
「 ありがとう
手のひら合わせられるのは
あなたがこうして
ここにいるからなんだよ 」
私のいのちに「ありがとう」と手を合わせてくださる阿弥陀さまが今ここに「南無阿弥陀仏」の声となっていてくださるから、私たちもまた阿弥陀さまに「ありがとうございます」「南無阿弥陀仏」と手を合わせていくことができるのでしょう。
お互いさまに理由などつけようもないほど大切な尊いいのちを生き合っていることをお念仏の声に気づかされながら生きて参りたいと思います。
称名
誓林寺
http://seirinji.main.jp