今年のお盆も過ぎ、夕方になれば涼しい風が吹くようになり、ヒグラシや鈴虫など夏の終わりを告げる虫たちも出てきました。少しずつ秋の足音が聞こえ始めているようです。とはいえ、日中はまだまだ暑い日があります。季節の変わり目、体調には十分注意して過ごして参りたいと思います。
さて、とても遅くなってしまいましたが今月の掲示板の言葉は詠み人知らずのお詩です。解説がなくてもなんとなく言おうとしていることは理解できるのではないかなと思いますが、「六字」というのは、もちろん「南無阿弥陀仏」の六字のお念仏のことです。このお詩は、「お念仏が出るということは、阿弥陀さまが私の中にしっかりと入っていてくださる証だ」ということを詠んでくださっています。
当たり前のことですが、鈴は中に玉が入っていなければどれだけ振っても音がなることはありません。たとえどれだけいい音のする鈴を作っても、玉を入れ忘れてしまったら音は出ませんね。これまた当たり前のことですが、鈴は振れば音が鳴りますが、振って音が鳴った時だけ玉が入っている訳ではなく、音が鳴っていないときもずっと入っているのが鈴の玉です。
同じように、私たちが「南無阿弥陀仏」とお念仏を称えることができるのは、私の中にちゃんと阿弥陀さまが入っていてくださるからです。また、阿弥陀さまは「声の仏さま」ということをよく聞かせてもらいますが、お念仏を称えた時にだけいてくださっているのか?というとそうではありません。鈴の玉が、鳴る時以外もずっと鈴の中にあるように、阿弥陀さまも「南無阿弥陀仏」の声となって出てきてくださる時以外もずっと私の中に居続けてくださっています。
「 あればなる
なければならぬ
鈴の玉
胸に六字の
なきは称へず 」
「あなたが声に『南無阿弥陀仏』と出せない時だって、いつでもどこでも私はあなたと共にいて、あなたを絶対に独りにはさせない」と誓ってくださった阿弥陀さま。その誓いは、この私の体の中に入り満ちるということによって果たしてくださいました。
「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏」とお念仏申す中に、「あなたを決して独りにはさせない」という阿弥陀さまのあたたかいお心を感じながら日々を送って参りたいと思います。
合掌
誓林寺
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